無痛分娩 メリット・デメリット まとめ

無痛分娩

無痛分娩について本気出して調べてみた

私と妻は、これから子どもを考えています。

まわりの人に話を聞くと、とにかく出産の大変さを聞くことが多いです。想像を絶する痛み。でもその分、子どもはかわいいと。

そういえば、「無痛分娩」について一時期ニュースでよく取り上げられていて、なんとなく「危険」なイメージがあったけど、本当のところはどうなんだろう。

気になったので調べてみたところ、無痛分娩のことが体系的にわかるものが見つからなかったので、自分用の備忘録としても掲載します。

結論、私は、無痛分娩を候補に入れてほしいと妻に伝えました。考え方は人それぞれなので、強制することはしませんが、検討する価値はある、と判断しました。

私は医療従事者ではないので、無痛分娩はこうだ、とストレートに伝えることが出来ません。ただ、少しでも多くの方が、無痛分娩を利用するかどうかの参考としていただけるよう、極力信頼できるデータを集めました。ご一読頂ければ幸いです。

なお、私は男です。

「男に何がわかる」

そんな声も聞こえてきそうですが、大切な妻を思い、「子育てはただでさえ大変。ならば、絶対に必要な痛みでないなら避けて通れたら」そう思い調べました。なので「無痛分娩の体験記」といった主観的な言葉では伝えられません。あくまでデータなどを基にした内容になっていることをご理解願います。

そもそも無痛分娩とは

私が「無痛分娩」という言葉から真っ先に連想したのは、「事故」という言葉でした。一時期、無痛分娩の際に命を落とした方や、後遺症を抱えることになった方のニュースが相次いでいたことを覚えています。

でもそもそも無痛分娩って?まずはそこから調べてみました。

以下の厚生労働省のHPにある、「無痛分娩を考える妊婦さんとご家族のみなさまへ[PDF形式:548KB]」という資料が、A4で2枚でまとめられており、読みやすかったので紹介します。メリット、リスク、方法などが簡潔に書かれています。

無痛分娩は、痛みを和らげるためだけかと思ってましたが、「心臓や肺の調子が悪い妊婦さんの、呼吸の負担を和らげ、体の負担を軽く」したり、「血圧が高めの妊婦さんの、血圧の上昇を抑える」ことができたりするんですね。そもそも必要なものなんだ、というだけでも発見でした。

なお、上のリンクは直接PDFにとびますが、以下のリンクから同じタイトルの資料を探して頂くか、直接タイトルをググって頂いてもご覧頂けます。

概要がわかると、次々に疑問がわいてきます。

「無痛分娩を受けるにはどうすれば良いの?」

「もう少しリスクを具体的に知りたい」

次に紹介するのが、「日本産科麻酔学会」という学会です。こちらに無痛分娩に関するQ&Aがまとめられています。この学会は、1961年に設立され、当時から「無痛分娩研究会」というものを開催しています。構成する全国の産婦人科や麻酔科の医療従事者がまとめられたQ&Aなので、非常に具体的です。個人的には、ここが一番わかりやすかったです。

さらに、2017年に無痛分娩に関連した医療事故のニュースが相次いで報道された際、その安全性について、妊産婦の間に不安が拡がったことを受けて立ち上げられた組織「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)」も紹介します。

より安全な無痛分娩を提供できるようにするために、無痛分娩に関係する産婦人科、麻酔科関係の学会・団体や日本医師会、日本看護協会が参加して2018年7月に無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)という組織が立ち上げられました。

無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)HPより

さきほどの「日本産科麻酔学会」はひとつの学会ですが、「JALA」は、厚生労働省が支援する、国の横断的な体制という位置づけです。ただ、2019年8月時点では、あまり有益な情報が見当たりません。「全国無痛分娩施設検索」といったものもありますが、まだ掲載数は少なく、これからの更新に期待します。

補足
無痛分娩の施設検索は、いまのところ、厚生労働省のHPがわかりやすいです。上でも紹介していますが、以下のHP内の、「厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した無痛分娩取扱施設の一覧(平成31年4月15日時点)」というところに、都道府県別の対応病院一覧がまとめられています。それぞれの病院の常駐医師の人数や無痛分娩の実績数の掲載もあり、非常に参考になります。ただ、「厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した」と記載がある通り、厚生労働省が安全性を保障したというわけではないことに注意です。今のところはあくまで自己判断、というわけです。

無痛分娩の事故や安全性

無痛分娩の概要をまとめたところで、次は事故や安全性について触れていきます。

厚生労働省に設置されている社会保障審議会が平成30年4月11日付で取りまとめた資料を見ると、無痛分娩の割合は増加傾向であること、そして妊産婦死亡のうち、無痛分娩を行っていた妊産婦は5.2%とのことです。<資料P4参照>

また、海外と比べると、日本の無痛分娩率は5.3%で諸外国に比べると少なく、日本の妊産婦死亡率は出生数10万対3.5で諸外国に比べ低い水準。しかし、無痛分娩率の高い国を見ても、それがそのまま妊産婦死亡率の高さにつながるわけではなく、無痛分娩と妊産婦死亡率については明らかな相関はない(つまり無痛分娩率の高い国が妊産婦死亡率が高いとは限らない)と結論付けています。<資料P6参照>

これらの調査の、より詳細な内容は、「公益社団法人日本産婦人科医会」の研究から確認できます。例えば、平成26年度は27,719件(全体のうち4.6%)あった無痛分娩数が、平成27年度には33,372件(同5.5%)、平成28年度には36,849件(同6.1%)と、確かに増加傾向にあると確認できます。<資料P4参照>

補足
日本産婦人科医会の研究は、日本の総分娩数の6割をカバーする病院からの回答をもとにしたもののため、実際の無痛分娩数は、もっと多いと想定されます(つまり残り4割の数字が含まれていません)。

ただ、これらの研究を素直に受け止められないとする意見もあります。

以下の朝日新聞の記事では、上の研究が、無痛分娩を推進する結論ありきの研究だったのでは、と指摘しています。つまり、「マスコミにミスリードをさせて、産科医療界の収入が増えることになる無痛分娩を広げようとしているのでは」という指摘です(無痛分娩にかかる費用は後述します)。

記事によると、研究で定義されている「死亡率」が、そもそも実態をカバーしきれておらず、死亡率では医療の質を推し量れないと指摘しています。たとえば「妊産婦死亡率」は出産後42日以内の母親の死亡率を表すが、過去の事故では、分娩の1年後、1年8ヶ月後に母親がそれぞれ死亡している事例もあり、これらが研究資料の数字に反映されていないということです。

このように、資料に表されていないデータがあること、そして既述の補足にもある通り、そもそものサンプルが6割であることより、無痛分娩に関する正確な数字は把握しようがないというのがいまのところの実情です。あくまでわかる範囲でのデータをまとめたものが、既述の研究成果という認識を持っておくことが大事です。

また、「平均」という数字にも注意が必要です。妊産婦死亡に占める無痛分娩の死亡率は、すべての病院が一律5.2%だったわけではありません。あくまで平均のため、実際には病院によって大きく異なるはずです。正確には、個別の病院に問い合わせてみるのが良いでしょう。

無痛分娩にかかる費用

参考ですが、費用にも触れます。

無痛分娩は、自然分娩に加え、10~20万円ほど高額になるのが一般的とのことです。

正確な費用は、病院によって異なりますので、「無痛分娩_◯◯病院」等と検索いただくか、直接お問い合わせください。

まとめ

2017年
社会問題化
2017年に無痛分娩に関連した医療事故のニュースが相次いで報道される
2017年7月ごろ
国へ働きかけ
事故の遺族より、厚生労働大臣宛てに、無痛分娩に関する分析と再発防止を求める要望書が提出
2017年7月ごろ
研究会立ち上げ
厚生労働科学特別研究「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」の立ち上げ
2018年3月
提言公表
研究班が、無痛分娩を熟知した専門職の配置など、診療体制の確保を提言
2018年3月~
提言内容を周知
提言で公表された、診療体制の確保などを関係機関に周知、対応を依頼中(ただし対応は義務ではない)
現在
取り急ぎ診療体制の情報を周知←今ここ
適切な環境が整うまでの間も、無痛分娩を希望する妊婦が分娩施設を選択する際の参考となるよう、施設の情報を取り急ぎ共有
20●●年
提言内容の通り改善
各病院で診療体制の確保等が整う

このタイムラインに示した通り、2019年8月時点では、無痛分娩における適切な診療体制の確保などを推進している時期であり、病院によっては、まだ必ずしも整っていないのが実情です。

もう少し様子を見てから利用を考えよう、という考えもあると思いますし、実際に無痛分娩を取り扱う病院を厚生労働省のHPから調べ、実績をもとに信頼できる病院へまずは相談してみよう、という考えもあると思います。

「無痛分娩そのものが危険なのではなく、技量がない医師が何の備えもなく手術をしていることが問題だ」

産経新聞 2019年5月2日記事より

最後に、無痛分娩で娘さんを亡くされ、被害者の会を立ち上げた安東さんという方の言葉を紹介します。

一般的に、何か問題が起きたときは、そのもの自体を否定的に捉えることが多いと思います(例えば薬の副作用が問題になると、処方の仕方ではなく薬自体を否定されることがあります)。

ただ、安東さんは、無痛分娩自体の必要性は認識したうえで、適切な環境の整備を訴えています。誤解のないよう、この事実は認識していただければと思います。

考え方は人それぞれです。無痛分娩を取り入れるかどうかは、最終的には当事者が判断できればと思います。ただ、残念ながら、「痛みを経験してこそ母親」などと、無痛分娩を否定する方も一部いるようです。

上にも書いた通り、無痛分娩は、心臓や肺の調子が悪い方、血圧が高めの方にとって、必要な分娩法でもあります。

いずれにせよ、人の出産方法についてとやかく意見を言うのではなく、純粋に、選択肢が広がることを歓迎しつつ、今後、より安全性の高い環境が整うことを期待します。